老犬が老人を元気にする

 ペットブームである。特に、高齢者の方達が、子育てから解放された反動としての寂しさからか、“癒し”や“新たな家族”作りのためペットを飼う家庭が増えている。最近のペットの傾向は、純粋犬化、小型犬化、そして室内化である。純粋犬化ということは、飼い主の“犬に対する思い”がかなり強くなる。犬の寿命は、大型犬12歳、小型犬14~5歳と一般的に小型犬のほうが長寿である。また、最近の栄養バランスのとれたペットフードや室内犬化は生活環境を好転させ長寿化をさらに促進している。
 その結果、7歳以上の高齢犬は、全体の約4割に達している。しかも犬だけでも約900万頭と多く、高齢化の問題は、何も人間だけの世界ではなく、犬の社会でも切実な問題となっている。
犬も動物であり、高齢になると年金問題はないが、健康に関しては、腎臓病、糖尿病、肝臓病、心臓疾患などと病名だけを聞いていると人間のものと見間違う程である。このままの状態が続くと、人間の高齢者も老犬も生活習慣病が拡大し、医療費も増加の一途をたどることが危惧される。

 一般的に老人だけの世帯に比べ、愛犬がいる世帯は元気である。愛犬は、家族の一員であり、特に老犬の場合、日頃の健康管理は飼い主の仕事である。自分の事だけを考えている訳にはいかないのである。また、老人にとっては幼犬、成犬と比べ、食事や時間の過ごし方、運動などの生活行動を共有するのに老犬の方が理にかなっている。
 例えば、食生活についてみると老犬は塩分摂取が殆んどダメであり、老人の低塩食を意識させる。また、必要カロリーは、老人も老犬も減少化しており、過剰摂取による肥満についても注意を促される。さらに、膝の関節にはグルコサミン酸、整腸作用にはオリゴ糖など老人にとっての大事な栄養素なども老犬と共有するものが多い。
 老人世帯は、運動不足になったり会話が少なくなる傾向にある。しかし、犬と生活すると毎日の散歩は欠かせぬこととなり必然的に運動量が増える。また公園や道端で、犬同士が興味を示せば、今度は、飼い主の出番である。犬の性格から始まり、好きな食べ物、嫌いな食べ物、躾の話、犬の血統、“犬の病気自慢”など止まる所を知らない。一人で家に閉じこもって、TVを観ているのと比べれば、楽しい会話があり、笑いがあり、老犬に関しての必要な情報交換も出来、自分自身の話、そして地域の情報交換も出来るようになれば、孤独な老人なんていうのは、どこ吹く風である。
 老犬がゆったりとくつろいでいる姿は、老人にもリラクゼーション効果を与える。老人は、日常生活の中で様々なストレスを感じているが、犬のヒーリング効果が、ストレスによる心拍数の上昇、血圧の上昇そして免疫システムの低下を防ぐ。明らかに心血管系や生活習慣に好影響を与えている。その意味では、老人は老犬から元気をもらっているといえる。
 本来、老人は子育ての実績があり、飼い犬を育て思いやる心は、確かなものがある。老人が老犬の健康に気遣うことを通して、自分の健康にも留意し、病気の早期発見、生活習慣病の改善のキッカケになり老人医療費が削減されればしめたものである。
 現在、ペット市場規模は約1.4兆円であるが、飼い主の手厚い飼育により今後とも市場が拡大することが予測される。多くの市場が縮小均衡する中で、ペット市場は、少子高齢化社会のニーズにも適合しており、“宝の山”の市場である。となると、老犬と人生を楽しむための“シニアとシニアドッグの共遊生活”に視点を当てた市場も面白くなる。バリアフリー住宅、健康関連、ペアファッション、愛犬温泉旅行などの商品やサービス開発が目白押しになるのではないだろうか。

縄文コミュニケーション(株) 福田博

 

2019年01月09日